メディ.ケアで扱っている杖、車椅子、介護用ベッドなどの福祉用具。名前を聞けばなんとなく想像できるのではないでしょうか?しかし、車椅子ひとつとっても、実は1台として同じものがないと言っても良いくらい種類があることはあまり知られていないと思います。利用者一人ひとりの体型や身体の状態、住んでいる住居、ライフスタイルに合わせて、無数にある福祉用具から選定することが重要なのです。

入社1年目、介護業界の知識がゼロだった私が担当したのはモニタリング業務でした。福祉用具をレンタルされている利用者さまを訪ねて、用具の点検し、利用してから気付いた使用感をひたすらヒアリングしました。多くの利用者さまを訪ねる中で徐々に商品の知識を蓄え、実際に使用している様子を見ることで、「この方の介助者にはこの車椅子の操作が大変そうだから、電動アシストタイプが必要かもしれない」とか、「腕のリハビリが進んだから、押してもらうばかりではなくて、自分で動かせる自走式を提案してみよう」などと柔軟に提案ができるようになりました。

それでも、福祉用具は日々進歩しています。今では、60〜70代の利用者さまは自らインターネットで調べているため、福祉用具の知識が深い方も多いので納得していただくのは至難の技。プロとして利用者さまの生活をしっかり想像しながら提案できるように、これから先も常に勉強を続けていきます。

現在は、知多半島の2つの自治体エリアをメインに担当しています。お付き合いしているケアマネジャーさんは約80人。その一人ひとりと、週に1度はなるべくお会いして、地域のニーズを拾い出しています。

営業の仕事で楽しいのは、毎日のように新しい利用者さまとの出会いがあり、その分だけ喜んでもらえることです。自分が提案した福祉用具や、設計、そして施工まで担当したリフォームで、利用者さまの不安が解消されていく様子を目の当たりにすると嬉しくなります。例えば、たったひとつ、枕元に手すりを置いたことがきっかけになって、寝たきりだった利用者さまが自分でトイレに行かれるようになり、更に外出できるくらい良くなった、なんて泣いて喜ばれることもあるんですよ。ただ手すりを置いただけ。たったそれだけのことで人を幸せにできる。それがこの仕事の醍醐味ですね。

もちろん失敗もたくさんあります。一番衝撃的だったのは、手すりを設置しようと壁に穴を開けたときのことです。たまたま水道管にぶつかってしまい、そこらじゅう水浸しになったときは血の気が引きました。新築時の図面が残っていれば、壁の中の配管も事前にわかるのですが、なかなか残っていないんです。そのときは、事前に壁の中の配管を破損してしまう可能性があることをきちんと説明していたことと、上司がすぐに一緒に謝りに来てくれたので、利用者さまも理解して納得していただけました。

初めての利用者さまにあいさつするときは、「この利用者さまをどうしたら笑顔にできるだろうか」と不安もありますが、きっと最後には喜んでもらえるはずだと前向きに考え、毎回ワクワクしながら名刺を渡しています。

1日のタイムスケジュール

出発 営業エリアに出発
1日の準備を社用車に詰め込んで、いざ担当の知多半島へ
9:00 アポイント1件目
東浦町のケアマネジャーさんと合流して、ドアを付け替えるお宅を訪問。
ヒアリングしながらその場で設計。平面図を書き出します。
10:00 アポイント2件目
レンタルした車椅子の調子が悪いので見て欲しいと言う利用者さま。
使い方を説明してすぐに問題解決。
10:30 2件目のアポイントが早めに終わって時間が空いたので、担当しているケアマネジャーさんの事務所を訪問。困っている利用者さまを新たに紹介してもらうことに。
ざっくりとヒアリングして、提案のアイデアを考える。
11:00 アポイント3件目
手すりの設置工事。このくらいの工事は職人さんではなく、自分で施工します。自分で描いた設計図通り、2〜3箇所に手早く手すりを設置。
12:00 お昼休憩
午後のアポイントに備えて、東浦町から常滑市に移動。いつでも利用者さまやケアマネジャーさんからの電話に出られるように、車内待機しながらお弁当を頬張ります。
13:00 アポイント4件目
シャワートイレの設置工事。職人さんに施工してもらうため、待ち合わせて 利用者さまのお宅へ訪問。使用方法までしっかりとレクチャーして納品完了。
14:00 アポイント5件目
連絡を受けていたケアマネジャーさんと打ち合わせ。
新たな利用者さまの情報を共有してもらいながら、提案する車椅子、介護ベッド、住居のリフォームについて提案する案を考えます。
15:00 常滑市内のケアマネジャーさんの拠点3箇所を訪問。新しい福祉用具を案内しつつ、利用者さまたちの様子をヒアリング。お付き合いしている80人のケアマネジャーさんとは、1週間に1度はなるべく話をするように心がけています。
16:00 アポイント6件目
レンタルの車椅子を納品。実際に座って操作してもらいながら使用感を確認。 利用する本人だけでなく、家族にも注意事項を丁寧に説明します。
「これで、出かけられるようになる!」と利用者さまが笑顔になった時が、この仕事をしていて一番嬉しい瞬間です。
17:00 事務所に戻り、事務作業。
利用者さまへの提案見積書、役所に提出する工事申請書、設計書の修正作業、メールチェック、翌日準備など。
20:00 帰宅

介護の現場のことは、当事者にならないと誰もが考えてもみないと思います。私がこの業界に興味を持ったきっかけは、30年ほど前に自分自身が腰の椎間板ヘルニアを患った経験でした。手術後は絶対安静。自分で寝返りも打てず、お風呂にも何日も入れず、ただただ苦痛と向き合う日々がこんなにも辛いものなのかと初めて考えさせられました。それだけに、久しぶりにお風呂に入れた時は、本当にそれだけで幸せだなと感じたことを覚えています。

福祉用具は、介護が必要な方たちをサポートして、健康な人が何気なく行っている入浴などの当たり前の幸せを実現する道具です。私自身が福祉用具を必要とした当時に感じたのは、どんな福祉用具が有効なのか、どのような手続きを踏めば手に入れられるのか相談することの難しさでした。そんな時に見つけたのがメディ.ケアでした。ボランティアではなく、ビジネスで困っている人を助けられる。「こんな仕事があるんだ」と福祉ビジネスに可能性を感じてこの業界に飛び込みました。

障害の数だけ、本人しかわからないような日常の困りごとは存在します。介護保険制度やケアマネ制度が充実した現在でも、「難病」に指定されるような症状に対応できる福祉用具について相談できる窓口は限られています。そこで、治療を担当している医師や理学療法士、はたまた同業他社のスタッフとも繋がりを持ち、○○に関してはあのドクター、◆◆の福祉用具については私に。と、あらゆる難病にも対応できるような組織の枠を越えたネットワーク作りに力を入れています。

自宅でお嫁さんに介護されている利用者さまのリフォームを依頼されたときのことです。どのような設備を整備すれば利用者さまの生活を豊かにできるか考え抜いて、提案し、施工しました。しかし、利用者さまのお嫁さんから「ここまでお金をかけた設備はいらないのでは?」とキツク言われたのです。

しかし時は経ち、その利用者さまが亡くなった後になって、お嫁さんから「あのとき、やってもらって良かったです。あなたのおかげで、義父の残りの人生を快適に過ごさせてあげられました」とわざわざお礼の連絡をいただいたのです。

介護の仕事は、基本的に自分たちよりも先に亡くなる方へ向けた商売です。なので、利用者さまが亡くなれば必要なくなることも往々にあるため、周囲の人にはなかなか評価されないかもしれません。しかし、最期の瞬間まで笑顔で過ごしてもらうことの大切さに、利用者さまの死と向き合って、そのとき初めて気付いてもらえたのだと思います。  私自身、そういったこの仕事の重みに気付いたのは入社後のことです。様々な利用者さまと向き合い、いろいろなことを経験できたからこそやりがいを感じられるようになったのだと思います。

「困っている人を助けたい」という想いで、この仕事に携わっていますが、難しいのはボランティアではなく、ビジネスとして成立させなければいけないこと。今でも判断に困ることはありますが、メディ.ケアが世の中から無くなって困ると思ってもらえる会社にしていきたいと模索し続けています。

この仕事の必須スキル

設計事務所でも工務店でもありませんが設計技術は必須です。それは、住居をバリアフリー化する住宅介護用リフォーム業務において、設計を担当するのが実は私たち社員だからです。利用者さまの自宅を訪問して、手すりの設置やドアの付け替え、トイレ改修などのリフォーム内容を検討。その場で方眼紙を使って設計図を書き起こします。

大切なのは、利用者さまの身体の状態や体型、それからライフスタイルをしっかりと把握して設計すること。手すりをひとつとっても、長さ、太さ、高さ、角度、素材や、設置後の廊下の幅まで考慮して、最適な設計をする必要があります。

誰もが未経験から始めるので、最初は1枚の設計図を完成させるのに1時間ほどかかるかもしれません。しかし、2年、3年と経験を積めば10分程度でパパッと書けるようになりますよ。

少しでも早くリフォームして利用者さまの悩みを解決したいと、設計だけでなく、工事まで勉強して自分自身で担当する先輩社員もいます。

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